それは生まれそして、忘れ去られた・・
再びエリス達はダーコン第1地区の黒い石のあった場所にたどり着いた。マーカスから受け取った賢者の布で黒い石を包み、それを持ってエストを尋ねようと考えていたからだ。
「あれ?確かこの辺でしたよね・・?」
「ええ・・そのはずだけど・・・・」
「僕もこの辺だと記憶してますけど・・・見当たりませんね・・・」
「うん・・・・どこ行ったかな・・・うーん・・・・」
3人は手分けして黒い石を見つけたが、不思議なことにその石は無くなってしまっていた。
「かけらが勝手に歩いていくわけはないし・・・」
「そうね・・・誰かが持ち去るなんてことがあるのかしら・・・」
「!・・・ここ見てください!」
「あったの!?」
「いや・・・ここ少し黒ずんでませんか?」
「・・・・・・確かに黒ずんでるわ・・・何かに侵食されたように・・・ちょっと待ってね」
とエリスはその黒ずんだ地面に手を触れてみる。
「・・・精霊が弱ってるわ。ここにあの石があったのは間違いなさそうね・・・・」
「じゃーやっぱり誰かに持ち去られちゃったのかなぁ???」
「その可能性があるわね。とりあえずなくなってしまったのは確認できたことだし・・・・エストさんのところへ向かってみましょう。何かわかると思うし・・・」
「はい!」
3人はまた箒にまたがり、周辺の山を探索した。しばらくするとリオルからエリス、コルクに声がかかった。
「エストさんの家っぽいのを見つけましたー!キャプテンドリラーの北西辺りです」
「そう、わかったわ^^向かうわ」
「はーい、僕も向かいますー」
しばらくすると、エリスとコルクがリオルに合流した。
「あそこですー」
とリオルが指差すほうへ目を向けると、確かに見つけにくい山中に木々に囲まれた一軒の家が見える。3人が見ているとちょうど家から若そうな、体系は細い感じの長髪の男がドアから出てきた。
「あの人がエストさんかな?わたしちょっと行って聞いてみてくるー」
というなりリオルは家の方へ飛んでいってしまった。エリスは制止しようと思ったが既にリオルは家の近くまで行ってしまっていたので、しばらく様子を見ることにした。
「あの行動力はうらやましいです・・・・僕」
「ええ・・・・少し心配だけどね・・・」
リオルが男に声をかけて、話しをしているのを二人は見つめながら浮いていた。するとリオルが手招きしているのが見えた。
「やっぱりエストさんでしたー!来てくださーい」
二人はゆっくりと箒を前に進め、リオルとその男がいる所まできて地面に降りた。
「失礼します。わたし太陽の船のギルドマスターをしているエリスといいます。マーカスさんからエストさんの事を聞いて、お話しを伺いたいと思って来たのですが少しよろしいですか?」
「あー構いませんよ。マーカスのじいさん元気でしたか?リオルさんぐらい元気だったら心配ないですけどねw」
「わたしぐらい元気だったよ・・・エリスさんに掴み掛かってきてたし・・・ねー?」
「そうですねーあの力はまだまだ元気だぞって感じでしたねw」
「そうですかwあー立ち話もなんですし中へどうぞwちょうど今、すごいサンプルを見つけたので調べていたところなんですよ^^」
「サンプル?」
「ええwここから南東のダーコン街の近くでね、暗闇のかけらっぽいのを見つけたんですよ^^」
「あ!!あの黒い石かな?」
「とりあえず中へどうぞ^^」
「そうですね^^失礼します」
3人はエストの後ろについて、家に入っていった。家の中はいくつもの棚があり書籍や石、モンスターたちの標本などいろいろなものがおいてあった。
「あーあまり気にしないでください^^;わたしはこのフリフの世界のものなら何でも研究しないと気がすまないんです^^;」
「あは・・・」
「でも・・・・すごいですね・・・見事ですわ」
「すご・・・見たことないモンスターもいっぱいだ・・・」
「^^;あーさっき見つけたかけらはこれですねー」
とエストが大事そうに布からひとつのかけらを研究用のテーブルの上においた。
「あ!やっぱりそうだ!この石でしたよね?」
「ええ・・・そうね」
「よかった^^;僕、てっきり石が歩いたのかと・・・」
「あーっと、それでこのかけらのことと『暗闇のかけら』のことを聞きに来たのでしたっけ・・・・」
「ええ、出来れば詳しく教えていただきたいのですが・・・よろしいですか?」
エリスが丁寧にお願いするとエストは少しまじめな顔になって説明を始めた。
「とりあえず、わたしが調べているのは『かけら』の誕生についてです。それらの分類は弟のエスターン、そしてその『かけら』の封印についてはエストリーがそれぞれ調べています。まだ完成してはいませんが・・・この『研究白書-誕生編-』をお譲りしますよ^^」
そうに言うとエストはエリスに1冊の本を差し出した。エリスはゆっくり表紙を開いて最初のページをリオルとコルクに読んで聞かせた。
「研究白書-誕生編-」
フラリスの時計ゼンマイの遺跡にある時計ゼンマイからは1日に数個程の『かけら』がこぼれおちている。それは大小様々で持ち運びできる大きさから、もちろん動かせない程の大きさまで存在している。もちろん遺跡なので、その『かけら』には何の力もないものがほとんどだ。しかし、数年に一度、力のある純粋な『かけら』がこぼれおちた形跡があるようだ。
「力のある『かけら』とはどんなものなのでしょう?」
「あーわたしが知っているものだと『暗闇のかけら』と『光源のかけら』と言うものがあるらしいですね。エスターンはさらにもう1種類あると言っていますが・・・純粋な『かけら』っていうのは伝承で調べた結果なので、わたしも見たことはないのですが・・・」
「あの石が『暗闇のかけら』なのでしょうか?」
「いや・・・あれは違うと思いますねw伝承によれば『暗闇のかけら』は他の物質を侵食するらしいのでもしや・・・と思ったのですが、純粋な『かけら』の伝承に書いてあるとおりなら、あの程度の侵食で済むはずがないんです」
「ん?どういうこと?」
「落ちていた地面を調査しましたが、うっすら黒ずむぐらいだったので・・純粋なものであれば数m四方にわたり真っ黒になるほど力があるそうですから・・・」
「そうなんだ・・・」
「まーわたしがわかるのはそのぐらいですね^^;弟達にも話しを伺ってみてください。さらに詳しいことがわかるかもしれませんから^^」
「わかりました・・・出来たら弟さん達の家を教えていただきたいのですがよろしいですか?」
「かまいませんよーw」
エストはマドリガル地図を取り出し、エスターンとエストリーの家を書き加え、それをエリスに手渡した。
「ありがとうございます^^」
3人はそれぞれお礼を言うと、エスターンの家を訪ねるため、また箒にまたがりエストの家を後にした。